BACK                   ATELIER VEGA             2003.8.25new

■NO11<ブカレストの春>■

イースタ・エッグ(彩色卵)

NO11<ブカレストの春>

2月末、久しぶりに戻ったブカレストは早春というにはまだ早く、時間が止まってしまったかのようでした。
3月上旬、ルーマニアには、小さな春の行事「マルティーショール」があります。親しい女性に友情の印を贈るもので、紅白の縒り糸に小さなペンダントヘットを付けて贈ります。受けとった人は肩に一週間付けているという可憐な行事です。
4月には、やっと芽吹いた木々に春の大雪が2度も降り、ブカレストっ子もビックリの異常気象でした。下旬には、雪の降った初旬が嘘のような暑い日が続き、一ヶ月の間に30度の気温差になりました。若葉と花々が一斉に咲き競う春爛漫の陽気となり、レンギョウ、梅、サクラ、コブシ、杏、が咲き競いヘラストラウ公園は散歩する市民、ローラースケートの子供達で溢れています。街角には花売り大男まででて、スミレ、水仙、カタクリ、マツユキ草など野の花束が売られ、休日には花好きなブカレスト市民が花を手に友人宅を訪問する姿を多く見かけます。市場は急に活気づき始め、野草のような小さな葉物類が売られています。埃っぽい市内を散水車が走り、ロマ人(ジプシー)の「フィアレベキ・クンバァ−!」お払い物はありませんかー!の声が響き、春の最大の宗教行事イースターを前に、ブカレスト市民は一家総出で家の修理、ペンキ塗りをしています。ロマーナ広場にはイースター卵、カードを売る露天が軒を並べ、アムゼーマケットも日本の年末風景のような凄い人混みです。

美しいイースターエッグ(彩色卵)に魅せられ制作者の自宅工房を訪ねました。卵を回転させながら、熱くした蜜蝋で伝統的な幾何学模様を線描します。何回も染料で染め分け、繊細な筆遣いと色合いで美しく彩色された卵は、生命と再生を象徴しイエスの復活を祝います。イースターには、夜中から夜明けにかけて人々は教会に集まり、キリストの復活を追体験する儀式を行い、ローソクの火を家に持ち帰ります。この日を境に、村では羊を放牧し、春の農作業が始まります。多くの人が帰省してしまった大都会ブカレストは、人も車も少ない静かな夏日のイースターとなりました。

サクランボが実りバラの花盛りの6〜7月は宗教行事も少なく結婚式シーズンです。人気のある教会では土曜日に何組ものカップルが式をあげていました。正教聖堂でのお式は荘厳さが漂い一面のフレスコ画は純白の花嫁を引き立たせ、ルーマニア女性をより美しくみせています。梅雨が無く、晴天続きの爽やかな7月。
ワラキア平原は地平線の彼方まで続くひまわり畑に覆われます。